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バイオシミラーとは

バイオシミラーとは

バイオシミラーの概要

バイオシミラーとは、特許期間・再審査期間を満了した先行バイオ医薬品と同等/同質の品質,安全性及び有効性を有する医薬品として、開発された医薬品のことです。「生物」を意味する「バイオ」に、「類似の」を意味する「シミラー」を付けた「バイオシミラー」は海外での呼称で、日本で使用される正式な名称は「バイオ後続品」です。

※バイオ医薬品は、遺伝子組換えや細胞培養といったバイオテクノロジーを用いてつくり出された医薬品です。複数の機能部位から構成される複雑な構造、生物活性、免疫原性等の品質特性があります。

後発医薬品(ジェネリック医薬品)とバイオシミラーとの違い

後発医薬品(ジェネリック医薬品)とバイオシミラーとで共通しているのは、先発医薬品または先行バイオ医薬品の特許期間・再審査期間の満了後に、別の製薬会社が開発した医薬品であるという点です。

両者で異なるのは、ジェネリック医薬品は比較的分子量が小さい化学合成品であるため、先発品との同等性を生物学的同等性試験等で証明する事が可能ですが、バイオシミラーはアミノ酸配列が先行バイオ医薬品と同一でも、目的物質の遺伝子を組み込んだ生産細胞(組み換え細胞)自体が違うことや、医薬品として分子レベルで同一であるという証明は困難であることです。そういったこともあり、バイオシミラーは「後発品」ではなく「後続品」という表現が用いられます。

承認申請に必要となる資料の数も、ジェネリック医薬品とバイオシミラーでは異なります。先発医薬品の資料を利用できるジェネリック医薬品が、最大4種類であるのに対して、バイオシミラーの場合は、臨床試験成績を含む最大20種類の資料が求められます

承認申請に必要な資料

○:添付必要 △:個々に判断 ×:添付不要

資料 新有効成分 バイオ後続品 後発医薬品
起原又は発見の経緯及び外国における使用状況等に関する資料 1.起原又は発見の経緯 ×
2.外国における使用状況 ×
3.特性及び他の医薬品との比較検討等 ×
製造方法並びに規格及び試験方法等に関する資料 1.構造決定及び物理的化学的性質等 ×
2.製造方法
3.規格及び試験方法
安定性に関する資料 1.長期保存試験 ×
2.苛酷試験 ×
3.加速試験
薬理作用に関する資料 1.効力を裏付ける試験 ×
2.副次的薬理・安全性薬理 × ×
3.その他の薬理 × ×
吸収、分布、代謝、排泄に関する資料 1.吸収 ×
2.分布 ×
3.代謝 ×
4.排泄 ×
5.生物学的同等性 × ×
6.その他 の薬物動態 ×
急性毒性、亜急性毒性、慢性毒性、催奇形性その他の毒性に関する資料 1.単回投与毒性 ×
2.反復投与毒性 ×
3.遺伝毒性 × ×
4.がん原性 × ×
5.生殖発生毒性 × ×
6.局所刺激性 ×
7.その他 ×
臨床試験の成績に関する資料 臨床試験成績 ×

第57回 中央医療社会保険協議会薬価専門部会(2009年11月4日)資料より引用

日本におけるバイオシミラーとその名称

日本国内では、2009年にヒト成長ホルモン製剤のソマトロピン、2010年には腎性貧血に用いられるエリスロポエチン製剤エポエチンのバイオシミラーが発売されました。そして2013年、国内3製剤目となるG-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)製剤フィルグラスチムのバイオシミラーが販売されています。バイオシミラーの市場規模は、今後も成長が見込まれています。

バイオシミラーの名称は、先行バイオ医薬品や、同じ先行バイオ医薬品の他のバイオシミラーとの区別のために、次のルールに基づいて記載されます。

一般名は先行バイオ医薬品の一般名(「遺伝子組換え」などの記載は省略)の末尾に「後続1(2,3,...)」を角括弧書きで追加します(注)。製品名は、「後続1(2,3,...)」の代わりに「BS」と記載し、その後に剤形、含量、会社名(または屋号など)を付けます。

  • 「バイオ後続品に係る一般名称及び販売名の取扱いについて」
    (平成21年3月4日付薬食審査発第0304011号)
  • 「バイオ後続品に係る一般名称及び販売名の取扱いについて」
    (平成25年2月14日付薬食審査発0214第1号)

一般名称:○○○○○○(遺伝子組換え)[×××××× 後続品1]
販売名:××××××BS 注射液含量会社名
(注)○○○○○○(遺伝子組換え)は、平成18年3月31日付薬食発第0304011号
医薬食品局長通知等により定められた名称。
「××××××」は、先行バイオ医薬品の一般名称のうち(遺伝子組換え)を除いたもの

〈例〉 一般的名称:フィルグラスチム(遺伝子組換え)[フィルグラスチム後続1]
販売名:フィルグラスチム BS 注 75μg シリンジ「F」