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臨床成績

臨床成績

海外第Ⅲ相臨床試験:治療学的同等性検証試験(海外データ)1)

本剤は、海外第Ⅲ相臨床試験から得られた結果を外挿して承認されました。そのため、一部、国内で承認された用法及び用量とは異なる症例が含まれています。

目的 中等症から重症の慢性尋常性乾癬患者を対象として、本剤と先行バイオ医薬品(EU)の治療学的同等性を実証する。
試験デザイン 二重盲検、無作為化、多施設共同臨床試験
対象 中等症から重症の慢性尋常性乾癬患者 581例
主な選択基準 中等症から重症の慢性尋常性乾癬患者(罹病期間:6ヵ月以上)と診断され、18歳以上75歳未満で、スクリーニング時及びベースライン時に乾癬病変に関連した体表面積(%BSA)が10%以上、PASIスコアが12以上、治験責任医師等による静的全般評価(sPGA)が3(中等症)以上で、2ヵ月以上乾癬の病状が安定している男女の患者を組み入れた。
試験方法

本試験は以下の2つのstageで構成され、Stage 1では15週目まで二重盲検下で主要有効性の評価を、以後のStage 2では52週目まで二重盲検下で長期有効性及び安全性の評価を行った。

Stage 1(15週目まで)
1日目において組み入れた患者を本剤群と欧州で承認されたウステキヌマブ製剤(以下、EU−先行バイオ医薬品)群に1:2の比率で無作為に割り付けた。

本剤群 本剤45mg(体重100kg以下)又は90mg(体重100kg超)の初回皮下投与を実施し、その4週間後に45mg又は90mg投与した。
EU−先行バイオ医薬品群 EU−先行バイオ医薬品45mg(体重100kg以下)又は90mg(体重100kg超)の初回皮下投与を実施し、その4週間後に45mg又は90mg投与した。

Stage 2(16週目~52週目まで)
16週目からStage 2を開始した。
最初に本剤群に無作為化された患者[本剤/本剤群]は16、28、40週目の12週間ごとに本剤45mg(体重100kg以下)又は90mg(体重100kg超)の皮下投与を継続した。
最初にEU−先行バイオ医薬品群に無作為化された患者は本剤群[EU/本剤群]とEU−先行バイオ医薬品群[EU/EU群]に1:1の比率で再度無作為化された。

EU/本剤群 患者は16、28、及び40週目の12週ごとに本剤45mg(体重100kg以下)又は90mg(体重100kg超)の皮下投与を継続した。
EU/EU群 患者は16、28、及び40週目の12週ごとにEU−先行バイオ医薬品45mg(体重100kg以下)又は90mg(体重100kg超)の皮下投与を継続した。
試験方法
評価項目
(1)有効性 主要評価項目 ベースラインから12週目までのPASIの改善率
 副次評価項目 4、8、12、16、28、40(投与終了)、52(試験終了)週目のPASI50、75、90、100の奏効率、sPGAで消失又はほぼ消失を達成した患者の割合、体表面積 に占める乾癬病変の割合(%BSA)の変化。ベースラインから4、8、16、28、40、52週目でのPASI改善率。ベースラインから12週目までのPASIの効果曲線下面積(AUEC)。ベースラインから12、18、40、52週目までの皮膚科関連QOL評価指標(DLQI)スコアの変化
(2)安全性 免疫原性(抗薬物抗体[ADA]、中和抗体[nAb])、有害事象、副作用
(3)薬物動態 定常状態における血清中トラフ濃度(Ctrough
解析計画

主要評価項目の解析は実施計画書に適合した対象集団(PPS)に基づき実施された。また、主要解析の頑健性を検証するために、16週目までのITT集団を対象に主要評価項目の同等性検定も実施した。ITT集団は、無作為化後に割り付けられた治験薬を1回以上投与されたすべての被験者とした。安全性解析対象集団は、無作為化後に割り付けられた治験薬を1回以上投与されたすべての被験者とし、実際に投与された治験薬に基づいて割付けを行った。

[有効性の解析]

主要評価項目 ベースラインから12週目までのPASI改善率
本邦においてはベースラインの体重100kg以下のPPSを有効性の主たる解析対象集団とし、本剤投与群とEU−先行バイオ医薬品群のPASI改善率の最小二乗平均差の95%信頼区間が許容範囲[-15% ~ 15%]であれば、本剤とEU−先行バイオ医薬品の臨床的同等性が証明されたとした。
副次評価項目 すべての有効性の副次解析は、ITT集団においてEU−先行バイオ医薬品と比較した本剤の臨床的同等性を評価するために実施した。4、8、12、16、28、40(投与終了)、52(試験終了)週目におけるPASI50、PASI75、PASI90、PASI100の奏効率を達成した患者数及び割合を投与群及び試験期間別に示し、投与群間の割合の差及び関連する95%信頼区間を示した。4、8、12、16、28、40及び52週目にsPGAスコアで「消失」又は「ほぼ消失」を達成した患者数及び割合を要約した。%BSAの記述統計量を投与群及び来院ごとに示した。12、28、40、52週目におけるDLQIの変化量を評価し、12週目までのAUECを比較した。

[免疫原性解析]

ADA及びnAbの有無を投与群及び来院ごとに集計した。また、ADA陽性の抗体価も集計した。

[安全性の解析]

有害事象はICH国際医薬用語集(MedDRA) version 25.1を用いてコーディングし、器官別大分類(SOC)及び基本語(PT)別に集計した。

【本邦で承認された用法及び用量】
6.用法及び用量
通常、成人にはウステキヌマブ(遺伝子組換え)[ウステキヌマブ後続1]として1回45mgを皮下投与する。初回投与及びその4週後に投与し、以降12週間隔で投与する。ただし、効果不十分な場合には1回90mgを投与することができる。

Stage1(15週目)までの結果(有効性・免疫原性・薬物動態)

患者背景(PPS)

本剤群
(n=194)
EU−先行バイオ医薬品群
(n=383)
年齢 歳,平均値±標準偏差 42.3±12.96 42.3±12.96
性別 男性/女性,n(%) 107(55.2)/87(44.8) 255(66.6)/128(33.4)
人種 白人,n(%) 194(100.0) 383(100.0)
体重 kg,平均値±標準偏差 83.48±18.368 84.20±18.606
≦80kg,n(%) 84(43.3) 166(43.3)
>80kg,≦100kg,n(%) 80(41.2) 158(41.3)
>100kg,n(%) 30(15.5) 59(15.4)
BMI kg/m2, 平均値±標準偏差 28.08±5.334 27.75±5.493
生物学的製剤の投与歴 あり,n(%) 15(7.7) 29(7.6)
罹病期間 カ月,平均値±標準偏差 193.4±139.86 199.8±135.68

ベースラインから12週目までのPASIの改善率(主要評価項目)

主たる解析対象集団である体重100kg以下の患者においては、本剤群86.9%、EU-先行バイオ医薬品群86.8%で、最小二乗平均差の95%信頼区間は-3.25% ~ 3.43%であった。

体重100kg以下の患者群(PPS)において事前に規定した同等性許容範囲内であり、本剤とEU-先行バイオ医薬品の臨床的同等性が証明された。

ベースラインから12週目までのPASIの改善率(主要評価項目)(PPS)
体重100kg以下の患者
体重100kg以下の患者
本剤群
(n=164)
EU−先行バイオ医薬品群
(n=324)
最小二乗平均値
(標準誤差)
86.9(1.91) 86.8(1.64)
最小二乗平均差
(標準誤差)
0.1(1.70)
95%信頼区間 -3.25, 3.43

※体重100kg超の投与群は、承認外の用量のため、削除しています。

PASI(副次評価項目)

PASI50、PASI75、PASI90、PASI100を達成した患者の割合について、両群間で臨床的に意味のある差は認められなかった。また、Stage 1のベースラインからのPASI改善率も本剤群及びEU−先行バイオ医薬品群で同様で、経時的に増加した。

PASI50、PASI75、PASI90、PASI100を達成した患者の割合の推移(ITT集団)
PASI50
PASI75
PASI90
PASI100
PASI改善率の推移(ITT集団)
PASI改善率の推移(ITT集団)

sPGAスコア(副次評価項目)

ベースラインから16週目までの各時点における「消失」又は「ほぼ消失」を達成した患者の割合は投与群間で同様であった。

sPGAで「消失」又は「ほぼ消失」を達成した患者の割合(ITT集団)
sPGAで「消失」又は「ほぼ消失」を達成した患者の割合(ITT集団)

PASIの効果曲線下面積(AUEC)(副次評価項目)

ベースラインから12週目までのAUECは投与群間で同程度であった。

ベースラインから12週目までのAUEC(ITT集団)
ベースラインから12週目までのAUEC(ITT集団)

DLQI(副次評価項目)

Stage1のベースラインからのDLQIの変化は投与群間で類似していた。

DLQIスコアの12週目におけるベースラインからの平均変化量(ITT集団)
DLQIスコアの12週目におけるベースラインからの平均変化量(ITT集団)

%BSA(副次評価項目)

Stage1の各時点におけるベースラインからの%BSAの変化は、投与群間で差がみられなかった。

%BSAのベースラインからの変化量の推移(ITT集団)
%BSAのベースラインからの変化量の推移(ITT集団)

ADA発現率・nAb発現率(副次評価項目)

16週目までのADA発現率は本剤投与群で28.4%、EU−先行バイオ医薬品群で54.5%であった。また、nAb発現率は本剤投与群で27.3%、EU−先行バイオ医薬品群で32.2%であった。

Ctrough(副次評価項目)

Stage1のベースラインから16週目までの平均Ctroughは投与群間で同程度であり、臨床的に意味のある差は認められなかった。体重100kg以下の患者でも、いずれの項目に関してもITT集団と同様の結果が認められた。

Stage2(16週目~52週目まで)までの結果(有効性・免疫原性・薬物動態)

PASI(副次評価項目)

経時的なPASI50、PASI75、PASI90、PASI100を達成した患者の割合について、投与群間で臨床的に意味のある差は認められなかった。また、PASI改善率は投与群間で同様で、Stage 2においても経時的に増加した。

PASI50、PASI75、PASI90、PASI100を達成した患者の割合(ITT集団)
PASI50
PASI75
PASI90
PASI100
PASI改善率の推移(ITT集団)
PASI改善率の推移(ITT集団)

sPGAスコア(副次評価項目)

16週目から52週目までの各時点における「消失」又は「ほぼ消失」を達成した患者の割合は投与群間で同様であり、各時点におけるsPGAの変化は投与群間で類似していた。

sPGAで「消失」又は「ほぼ消失」を達成した患者の割合
sPGAで「消失」又は「ほぼ消失」を達成した患者の割合

DLQI(副次評価項目)

Stage2のベースラインからのDLQIの変化は投与群間で類似していた。

DLQIの変化量の推移(ITT集団)
DLQIの変化量の推移(ITT集団)

%BSA(副次評価項目)

Stage 2の各時点におけるベースラインからの%BSAの変化は、投与群間で差がみられなかった。

%BSAの変化量の推移(ITT集団)
%BSAの変化量の推移(ITT集団)

ADA発現率・nAb発現率(副次評価項目)

試験全体としてのADA発現率(52週目までのいずれかの来院日でADA陽性)は本剤/本剤群で38.7%、EU/本剤群で64.1%、EU/EU群で58.2%であった。また、nAb発現率(52週目までのいずれかの来院日でnAb陽性)は本剤/本剤群で32.4%、EU/本剤群で36.4%、EU/EU群で28.0%であった。

Ctrough

Stage 2でも52週目までのCtrough値はすべての投与群間で同程度であった。
体重100kg以下の患者でも、いずれの項目に関してもITT集団と同様の結果が認められた。

安全性

Stage1(15週目まで)

本剤群で有害事象が194例中67例(34.5%)104件、副作用が10例(5.2%)13件報告され、EU−先行バイオ医薬品群はそれぞれ387例中130例(33.6%)223件、37例(9.6%)39件で同様であった。主な副作用は、上気道感染 本剤群3例(1.5%)、EU−先行バイオ医薬品群7例(1.8%))および注射部位反応(各2例(1.0%)、9例(2.3%))であった。16週目までに重篤な副作用、および投与中止、死亡に至った副作用は報告されなかった。

Stage2(16週目~28週目まで)

本剤/本剤群で有害事象が193例中21例(10.9%)26件、EU/本剤群で192例中30例(15.6%)35件、EU/EU群で189例中29例(15.3%)36件報告された。副作用は本剤/本剤群では認められず、EU/本剤群では5例(2.6%)5件、EU/EU群では2例(1.1%)2件報告された。主な副作用は、注射部位反応(本剤/本剤群0例、EU/本剤群1例(0.5%)、EU/EU群1例(0.5%))であった。16週目~28週目までに重篤な副作用、および投与中止、死亡に至った副作用は報告されなかった。

Stage3(28週目~52週目まで)

本剤/本剤群で有害事象が191例中32例(16.8%)49件、EU/本剤群で184例中42例(22.8%)66件、EU/EU群で184例中39例(21.2%)49件報告された。副作用は本剤/本剤群では認められず、EU/本剤群では3例(1.6%)4件、EU/EU群では6例(3.3%)8件報告された。主な副作用は、注射部位反応(本剤/本剤群0例、EU/本剤群1例(0.5%)、EU/EU群2例(1.1%))であった。28週目~ 52週目までに重篤な副作用、および投与中止、死亡に至った副作用は報告されなかった。
全患者群又は体重100kg以下の患者の投与群間で顕著な不均衡は認められなかった。

海外第Ⅲ相臨床試験における副作用発現状況(15週目まで)

副作用 本剤群
(n=194)
EU−先行バイオ医薬品群
(n=387)
発現例数(%) 件数 発現例数(%) 件数
全ての副作用 10(5.2) 13 37(9.6) 39
感染症及び寄生虫症 6(3.1) 6 14(3.6) 14
 上気道感染 3(1.5) 3 7(1.8) 7
 上咽頭炎 2(1.0) 2 3(0.8) 3
 単純ヘルペス 0 0 1(0.3) 1
 口腔ヘルペス 0 0 1(0.3) 1
 咽頭炎 1(0.5) 1 0 0
 鼻炎 0 0 1(0.3) 1
 副鼻腔炎 0 0 1(0.3) 1
一般・全身障害及び投与部位の状態 2(1.0) 3 12(3.1) 13
 注射部位反応 2(1.0) 3 9(2.3) 9
 注射部位疼痛 0 0 1(0.3) 2
 無力症 0 0 1(0.3) 1
 注射部位血腫 0 0 1(0.3) 1
皮膚及び皮下組織障害 0 0 6(1.6) 6
 そう痒症 0 0 3(0.8) 3
 ざ瘡 0 0 1(0.3) 1
 アレルギー性皮膚炎 0 0 1(0.3) 1
 乾癬 0 0 1(0.3) 1
神経系障害 0 0 3(0.8) 3
 頭痛 0 0 2(0.5) 2
 傾眠 0 0 1(0.3) 1
胃腸障害 1(0.5) 1 1(0.3) 1
 下痢 0 0 1(0.3) 1
 歯の浸食 1(0.5) 1 0 0
血管障害 0 0 2(0.5) 2
 血腫 0 0 2(0.5) 2
心臓障害 1(0.5) 1 0 0
 不整脈 1(0.5) 1 0 0
代謝及び栄養障害 1(0.5) 1 0 0
 食欲減退 1(0.5) 1 0 0
呼吸器、胸郭及び縦隔障害 1(0.5) 1 0 0
 口腔咽頭痛 1(0.5) 1 0 0

MedDRA/J Ver. 25.1

海外第Ⅲ相臨床試験における副作用発現状況(16~28週目)

副作用 本剤群
(n=193)
EU/本剤群
(n=192)
EU/EU群
(n=189)
発現例数(%) 件数 発現例数(%) 件数 発現例数(%) 件数
全ての副作用 0 0 5(2.6) 5 2(2.1) 2
一般・全身障害及び投与部位の状態 0 0 2(1.0) 2 1(0.5) 1
 注射部位反応 0 0 1(0.5) 1 1(0.5) 1
 注射部位血腫 0 0 1(0.5) 1 0 0
感染症及び寄生虫症 0 0 2(1.0) 2 0 0
 COVID-19 0 0 1(0.5) 1 0 0
 上気道感染 0 0 1(0.5) 1 0 0
肝胆道系障害 0 0 1(0.5) 1 0 0
 高トランスアミナーゼ血症 0 0 1(0.5) 1 0 0
臨床検査 0 0 0 0 1(0.5) 1
 アラニンアミノトランス
 フェラーゼ増加
0 0 0 0 1(0.5) 1

MedDRA/J Ver. 25.1

海外第Ⅲ相臨床試験における副作用発現状況(28~52週目)

副作用 本剤群
(n=191)
EU/本剤群
(n=184)
EU/EU群
(n=184)
発現例数(%) 件数 発現例数(%) 件数 発現例数(%) 件数
全ての副作用 0 0 3(1.6) 4 6(3.3) 8
一般・全身障害及び投与部位の状態 0 0 2(1.1) 3 2(1.1) 2
 注射部位反応 0 0 1(0.5) 2 2(1.1) 2
 注射部位疼痛 0 0 1(0.5) 1 0 0
感染症及び寄生虫症 0 0 1(0.5) 1 2(1.1) 2
 COVID-19 0 0 1(0.5) 1 0 0
 上咽頭炎 0 0 0 0 1(0.5) 1
 上気道感染 0 0 0 0 1(0.5) 1
臨床検査 0 0 0 0 1(0.5) 3
 アラニンアミノトランス
 フェラーゼ増加
0 0 0 0 1(0.5) 1
 アスパラギン酸アミノ
 トランスフェラーゼ増加
0 0 0 0 1(0.5) 1
 γ-グルタミルトランス
 フェラーゼ増加
0 0 0 0 1(0.5) 1
筋骨格系及び結合組織障害 0 0 0 0 1(0.5) 1
 筋肉痛 0 0 0 0 1(0.5) 1

MedDRA/J Ver. 25.1

1)Steven R Feldman et al., Expert Opin Biol Ther. 2023;23(8):759-771